第59章 ステータスバーを作る その3


第57章でステータスバーを作るには、 CreateWindowEx関数か、CreateStatusWindow関数を使うと書きました。 今回は、CreateStatusWindow関数を使ったステータスバーの例を示します。 それと、前回作ったステータスバーに何か不満はありませんか。 実は、ウィンドウサイズを小さくしていくと最後の小区画から 削られていって表示されなくなります。たとえば、右端に小区画を 作ってここに時刻表示をするときなどはまずいですね。

今回はそういった不満にも対応します。 CreateStatusWindow関数は、

HWND CreateStatusWindow( LONG style, // ウィンドウスタイル LPCTSTR lpszText, // 第1区画に表示される文字列 HWND hwndParent, // 親ウィンドウハンドル UINT wID // ステータスバーのID );

のようになっています。CreateWindowEx関数より引数が 少なくて使いやすそうですね。

styleには、WS_CHILDとWS_VISIBLEを加えます。また、サイズグリップをつけるには SBARS_SIZEGRIPを加えます。また、CCS_BOTTOMはステータスバーを親ウィンドウの 下につけるときに使います。CCS_TOPというのもありますがSBARS_SIZEGRIPとは 併用できません。

次に、右端に小区画を作るにはどうしたらよいでしょうか。前章では int型配列を最初に初期化してしまいました。そうするとウィンドウサイズが 変更になったときに対応できません。ウィンドウサイズが変更されたときは WM_SIZEメッセージが出されます。このとき、小区画の定義をしてやれば よいのではないかという考えに到達します。

WM_SIZE fwSizeType = wParam; // リサイズフラッグ nWidth = LOWORD(lParam); // クライアント領域の幅 nHeight = HIWORD(lParam); // クライアント領域の高さ

都合のよいことに、WM_SIZEの副メッセージのlParamの下位ワード値は クライアント領域の幅を表しています。これは使えそうですね。

case WM_SIZE: sb_size[1] = LOWORD(lp); sb_size[0] = LOWORD(lp) - 200; SendMessage(hSBWnd, SB_SETPARTS, 2, (LPARAM)sb_size); SendMessage(hSBWnd, WM_SIZE, wp, lp); break;

というような感じで小区画を分けてやればよいのではないでしょうか。 2番目の区画は常に、右端から200の長さをキープできます。 (ウィンドウを縮小すると第1区画の長さが短くなる)

それでは、例題を見てみましょう。いつも、時計表示ばかりでは おもしろくないので、今回は、全物理メモリと、フリーの物理メモリを キロバイト単位で表示するようにしてみました。

// status03.cpp #define STRICT #include <windows.h> #include <commctrl.h> #define ID_STATUS 100 #define ID_MYTIME 32767 LRESULT CALLBACK WndProc(HWND, UINT, WPARAM, LPARAM); BOOL InitApp(HINSTANCE); BOOL InitInstance(HINSTANCE, int); char szClassName[] = "status03"; //ウィンドウクラス int APIENTRY WinMain(HINSTANCE hCurInst, HINSTANCE hPrevInst, LPSTR lpsCmdLine, int nCmdShow) { MSG msg; if (!hPrevInst) { if (!InitApp(hCurInst)) return FALSE; } if (!InitInstance(hCurInst, nCmdShow)) { return FALSE; } while (GetMessage(&msg, NULL, 0, 0)) { TranslateMessage(&msg); DispatchMessage(&msg); } return msg.wParam; }

いつも同じではおもしろくないので、WinMain関数をint APIENTRYにしてみました。 いろんなヘッダーファイルでAPIENTRYは、WINAPIであると定義されています。 (要するに同じ)

例によって、commctrl.hのインクルードとcomctl32.libをプロジェクトに参加 させるのを忘れないでください。

//ウィンドウ・クラスの登録 BOOL InitApp(HINSTANCE hInst) { WNDCLASS wc; wc.style = CS_HREDRAW | CS_VREDRAW; wc.lpfnWndProc = WndProc; //プロシージャ名 wc.cbClsExtra = 0; wc.cbWndExtra = 0; wc.hInstance = hInst; //インスタンス wc.hIcon = LoadIcon(NULL, IDI_APPLICATION); wc.hCursor = LoadCursor(NULL, IDC_ARROW); wc.hbrBackground = (HBRUSH)GetStockObject(WHITE_BRUSH); wc.lpszMenuName = NULL; //メニュー名 wc.lpszClassName = (LPCSTR)szClassName; return (RegisterClass(&wc)); }

これは、いつもと同じです。

//ウィンドウの生成 BOOL InitInstance(HINSTANCE hInst, int nCmdShow) { HWND hWnd; hWnd = CreateWindow(szClassName, "猫でもわかるステータスバー", //タイトルバーにこの名前が表示されます WS_OVERLAPPEDWINDOW, //ウィンドウの種類 CW_USEDEFAULT, //X座標 CW_USEDEFAULT, //Y座標 CW_USEDEFAULT, //幅 CW_USEDEFAULT, //高さ NULL, //親ウィンドウのハンドル、親を作るときはNULL NULL, //メニューハンドル、クラスメニューを使うときはNULL hInst, //インスタンスハンドル NULL); if (!hWnd) return FALSE; ShowWindow(hWnd, nCmdShow); UpdateWindow(hWnd); return TRUE; }

これも、毎度おなじみです。

LRESULT CALLBACK WndProc(HWND hWnd, UINT msg, WPARAM wp, LPARAM lp) { int id; static HWND hSBWnd; int sb_size[2]; static MEMORYSTATUS ms; char *str_org0 = "全物理メモリ = %ld KB"; char *str_org1 = "空物理メモリ =%ld KB"; char str[256]; switch (msg) { case WM_CREATE: InitCommonControls(); hSBWnd = CreateStatusWindow( WS_CHILD | WS_VISIBLE | CCS_BOTTOM | SBARS_SIZEGRIP, NULL, // 第1区画に表示される文字列 hWnd, // 親ウィンドウ ID_STATUS); // ステータスバーのID SetTimer(hWnd, ID_MYTIME, 500, NULL); break; case WM_TIMER: GlobalMemoryStatus(&ms); wsprintf(str, str_org0, ms.dwTotalPhys / 1024L); SendMessage(hSBWnd, SB_SETTEXT, 0 | 0, (LPARAM)str); wsprintf(str, str_org1, ms.dwAvailPhys /1024L); SendMessage(hSBWnd, SB_SETTEXT, 1 | 0, (LPARAM)str); break; case WM_SIZE: sb_size[1] = LOWORD(lp); sb_size[0] = LOWORD(lp) - 200; SendMessage(hSBWnd, SB_SETPARTS, 2, (LPARAM)sb_size); SendMessage(hSBWnd, WM_SIZE, wp, lp); break; case WM_CLOSE: id = MessageBox(hWnd, (LPCSTR)"終了してもよいですか", (LPCSTR)"終了確認", MB_YESNO | MB_ICONQUESTION); if (id == IDYES) { DestroyWindow(hWnd); } break; case WM_DESTROY: KillTimer(hWnd, ID_MYTIME); PostQuitMessage(0); break; default: return (DefWindowProc(hWnd, msg, wp, lp)); } return 0L; }

親ウィンドウが作られたらすぐに(WM_CREATE)、ステータスバーを 作ります。いつものように、InitCommonControls()関数を忘れないでください。 SetTimer関数もここで呼びます。

WM_TIMERメッセージが来たら、メモリ関係の情報を取得します。 32ビット版ではGlobalMemorySyatus関数を使うと便利です。

VOID GlobalMemoryStatus( LPMEMORYSTATUS lpBuffer // MEMORYSTATUS構造体へのポインタ );

となっています。lpBufferは、MEMORYSTATUS構造体へのポインタです。 MEMORYSTATUS構造体はどうなっているかというと

typedef struct _MEMORYSTATUS { // mst DWORD dwLength; // sizeof(MEMORYSTATUS) DWORD dwMemoryLoad; // 使用されているメモリのパーセント DWORD dwTotalPhys; // 物理メモリのバイト数 DWORD dwAvailPhys; // 物理メモリの空きメモリのバイト数 DWORD dwTotalPageFile; // paging fileのバイト数 DWORD dwAvailPageFile; // paging file の空きバイト数 DWORD dwTotalVirtual; // address spaceのユーザーバイト数 DWORD dwAvailVirtual; // free user bytes } MEMORYSTATUS, *LPMEMORYSTATUS;

のように定義されています。ここでは、物理メモリについての情報が 必要なのでdwTotalPhysとdwAvailPhysメンバのみを使います。 また、各メンバはDWORD値であることに注意してください。

そして、得た情報をステータスバーに表示させます。

WM_SIZEメッセージを捕まえたら、副メッセージlParamよりクライアント 領域の幅を取得します。そして、各小区画の大きさを決めます。 そして、ステータスバーウィンドウにWM_SIZEメッセージを そっくり送ります。

WM_DESTROYメッセージのところでタイマーを殺すのを忘れないで ください。

ウィンドウの幅を縮小しても右にある小区画(空き物理メモリ表示) の幅は変わりません。左の小区画の幅が変化します。


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Update Jul/18/1997 By Y.Kumei
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